「おはようございます。今日は冬至ですね。 ここ静岡県磐田市でも、朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってきました。『静岡は暖かいから冬越しも楽でしょう?』と思われるかもしれません。実はこの時期、私たちの頭を悩ませるのが特有の『遠州の空っ風』です。今日は、私が15年の家庭菜園生活で学んだ、厳しい冬の寒さと乾燥から大切な野菜を守るための『冬越し作業』についてご紹介します。」

1. 強敵「遠州の空っ風」から野菜を守る方法
今年は午後には風が出てきますが、午前中はここ二三日穏やかです。まだこれからで、例年日差しは明るいのに風は強く冷たいのが遠州の空っ風です。
今回は我が家の冬越し三種の神器(トンネル・マルチ・不織布)の活用法です。
はじめに➀トンネル掛けからスタート!
➀トンネルがけ
トンネルは空気を温める上着
野菜の上に動かない断熱効果のある空気層を作ります。

1. 被覆資材(シート類):目的別に選ぶ「壁」
作物を覆うシートは、保温、防虫、遮光など、何を主目的とするかによって使い分けます。
• ビニールフィルム類(保温重視) 冬場の栽培で最も重要な、熱を逃がさないための資材です。
◦ 農PO(農業用ポリオレフィン): 【推奨】 農ビの保温性と農ポリの扱いやすさを兼ね備えた、現在主流の資材です。丈夫でベタつかず、数年繰り返し使えます,。
◦ 農ビ(農業用塩化ビニル): 保温性は最強ですが、重く、フィルム同士がくっつきやすいため扱いが大変です,。
◦ 農ポリ(農業用ポリエチレン): 安価で軽量ですが、保温力や強度は劣ります。
◦ 穴あきタイプ: 換気の手間を省くため、あらかじめ換気孔が開けられたフィルムも便利です(開孔率1〜2%程度が目安),。
• 通気性のある資材(防虫・防霜・日よけ)
◦ 寒冷紗(かんれいしゃ): 網目状の布で、白(保温・防虫)、黒(遮光・夏用)、銀(アブラムシ忌避)などがあります,。
◦ 防虫ネット: 害虫の侵入を防ぐことに特化しています。目合い(網目の大きさ)0.6mm〜1.0mmなどを対象害虫に合わせて選びます。
◦ 不織布(ふしょくふ): 繊維を絡ませた薄い布で、保温性と通気性があります。軽いので「べたがけ」にも使えます,。
2. 骨組み(支柱):空間を作る「骨」
• トンネル支柱(弾性ポール) 「ダンポール」や「グラスファイバーポール」と呼ばれる、曲げても折れにくい弾力のある支柱が推奨されます。畝(うね)の幅に合わせてアーチの形を調整でき、軽量で安価です,。
◦ 長さの目安: 使用する畝幅の2倍以上の長さのものを選びます(例:畝幅80cm+高さ40cm+埋め込み分なら180cm〜210cm程度),。
3. 固定・補強資材:強度を保つ「関節」
風で飛ばされたり、隙間ができたりしないよう、資材をしっかり固定する道具です。
• 留め具(クリップ・パッカー)
◦ トンネルクリップ: 支柱とシートを挟んで固定します。洗濯バサミよりもグリップ力が強く、ステンレス製などは耐久性が高いです。
◦ トンネルパッカー: 支柱にはめ込んでシートを面で固定します。換気のために裾を開けた際、シートを上で留めておくのにも役立ちます。
• 地面への固定具
◦ U字ピン・杭: トンネルの両端(出入り口)を絞って地面に固定するために使います,。
◦ マルチ押さえ: トンネルの裾(サイド)を地面に固定するために使います。
• 補強用の紐(ひも) 強風対策として、トンネルの上から押さえたり、支柱同士を連結して強度を高めたりするために使用します。
2. 必要な材料セット(一例)
冬の寒さから野菜を守るトンネルを作る場合の、標準的なセットは以下の通りです。
1. シート: 厚さ0.075mmの農POフィルム(または穴あきマルチシート),
2. 支柱: 畝幅に合った長さのダンポール(約60cm間隔で設置),
3. 固定: トンネルパッカー(支柱への固定用)とU字ピン(両端の固定用)
4. 補強: 紐(バタつき防止用)
3. トンネル掛けのコツ
トンネル栽培の成否は、いかに**「風で飛ばされない頑丈な構造を作るか」と「適切な温度管理ができるか」**にかかっています。
1. 資材選びのコツ:扱いやすさと耐久性のバランス
- フィルムの選定: 保温性が高く、かつ扱いやすい**「農POフィルム(厚さ0.075mm)」**が推奨されます。農ビ(塩化ビニル)よりも軽く、ベタつかず、耐久性が高いため数年使い回すことができます。
- 支柱の長さ計算: 畝の幅に合わせて適切な長さを選ぶ計算式があります。
- 目安: 畝幅 + トンネルの高さ + 地中に挿す長さ(両側分約40cm)
- 例:畝幅80cm+高さ40cm+埋め込み40cm=160cm〜180cm程度の支柱が必要です。
2. 骨組み設置のコツ:両端の補強が最重要

- 支柱の間隔: 約60cm間隔で支柱を挿し、高さを揃えてアーチを作ります。
- 「斜め挿し」で強度アップ: これが最大のコツです。畝の**両端(スタートとゴール)**には支柱を1本ずつ追加し、地面に対して「斜め」に深く挿し込みます。これにより、フィルムを強く引っ張った際の張力に耐える「つっかえ棒」の役割を果たし、トンネル全体の歪みを防ぎます。
3. 被覆(シート張り)のコツ:ピンと張ってバタつき防止
- フィルムの張り方: フィルムが風でバタつくと破れの原因になります。シワにならないようにピンと強く張りながら固定するのが鉄則です。
- 端の処理: フィルムの端は絞ってまとめ、U字ピンなどで地面にしっかり固定します。結び目を作ってピンで留め、折り返してもう一本ピンで留めると抜けにくくなります。
- 裾の処理: 密閉する場合は土をかけたり、「マルチ押さえ」で地面に固定したりします。換気のために頻繁に開閉する場合は、裾を少し長めに残し、クリップで支柱に留める方法が便利です。
4. 風対策のコツ:上からの押さえ(サンドイッチ)
私の住む静岡県西部では、冬に『遠州の空っ風』と呼ばれる強風が吹くため、このサンドイッチ法が欠かせません。シートを被せただけでは強風で剥がれるリスクがあります。仕上げに以下のいずれかの方法で補強します。
- 支柱で挟む(推奨): シートの上から、さらに別の弾性ポール(支柱)をアーチ状にかけます。これによりシートが内と外の支柱でサンドイッチされ、強風でも飛ばされにくくなります。
- 紐(ひも)で押さえる: 「マイカ線」などの平たい紐を、トンネルの上から螺旋(らせん)状や千鳥掛け(ジグザグ)にかけてバタつきを抑えます。
5. 管理のコツ:換気と保温の工夫
- 穴あきフィルムの活用: 日中、トンネル内は想像以上に高温(30度以上)になります。毎日裾を開け閉めするのが大変な場合は、最初から換気穴が開いている**「穴あきフィルム(開孔率1〜2%程度)」**を使うと、換気の手間が省け、雨水も適度に入ります。
- 二重被覆(べたがけ併用): 厳寒期には、トンネルの中にさらに**「不織布」**を野菜に直接かける(べたがけ)と、保温効果が高まり、霜害のリスクを減らせます。
- 観音開き(かんのんびらき): 収穫や手入れを頻繁に行う場合の裏技です。シートを2枚使い、左右から少し重ねるように被せ、頂部をパッカーで留めます。作業時はクリップを外してカーテンのように開けられるため、非常に便利です。
4. 成功するトンネル掛けのまとめ
成功するトンネル掛けのポイントは、**「両端の支柱を斜めに挿して踏ん張らせること」と、「シートの上からさらに支柱や紐で押さえて風を防ぐこと」**です。これらを実践することで、冬の寒風に負けない栽培環境を作ることができます。
風の強い日には作業を避け、穏やかな午前中できれば風のない早朝に行うのがコツです。
風に強く、管理もしやすい**「トンネル掛けのコツ」**を、準備から設置、管理までの工程順にまとめました。

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